理系学生にとって研究室選びってとても重要ですよね。
最低でも1年の間、毎日のように配属された研究室に通い研究活動を行うため、学生生活の多くの時間を研究室での生活に費やすことになると思います。
ただ、大学には多くの研究室が存在し、その中から自分に最適な研究室を選ぶのってすごく大変なことだと思います。
そこでこの記事では、現在博士課程に在籍する僕がラボ選びのコツを紹介して行きたいと思います。
特にこの記事では将来アカデミアで研究者を目指す人や企業の研究職をめざしたいなど、比較的研究意欲の高い人に焦点を当てて解説を行います。
研究にはあまり興味がなく、無難に研究室生活を送りたいという方は僕の以前書いた記事、「失敗しないラボ選び8選【理系学生向け】【生活編】」を参照してください。こちらの記事では研究内容以外でラボを選ぶときに検討しておくべき事項を8つ紹介しています。もちろん研究意欲の高い人にも参考になることだと思います。
ラボの研究内容をチェックする。
これは当たり前といえば当たり前かもしれません。
候補とするラボが何を明らかにすることを目的としているのか、その謎を明らかにするためにどのような手法やモデル生物を用いているのかはよく調べて置いた方が良いでしょう。
加えてその研究はラボの中だけで完結する内容なのか、それともフィールドワークを行ったり、共同研究で他の研究施設に行くこともあるのかも調べておくことをオススメします。
ラボのアクティビティをチェックする。
これ結構重要です。あなたの興味のある研究室がどのくらい熱心に研究活動を行なっているのか調べましょう。
「そんなのどうやって判断するの?」ってことになると思うんですが、大抵の場合、ラボのHPを見ると研究業績や論文などと書かれたページがあるのでそこをチェックしましょう。
そこで5年以内に論文が出ているか確認しましょう。もし出ていないようであればその研究室はあまり熱心に研究活動を行なっていないということになります。
少なくとも僕のいる生命科学の分野では5年あれば何らかの研究結果が出ることが多いです。
もし5年以内に論文が出ていなければ、おそらくその研究室の指導教員は研究への熱意を失い、最近の研究のトレンドにも疎くなっている可能性が高いです。
そんな人から指導を受けていてはどんなに才能のある学生でも研究者として成功することは非常に難しいです。それほどまでに指導教員の影響は大きいのです。
また5年以内に論文を出していても共著だけの場合は注意が必要です。
論文には大抵何人かの著者の名前が連なっていると思います。
その中で一番後ろに名前が書かれている人がその論文の指揮をとった人でその論文の担当責任者になります。
この位置に指導教員の名前が記載されているのか必ず確認しましょう。
逆に一番前に書いてある人は筆頭著者といい、その論文でもっとも手を動かして実験した人です。これはポスドクや学生である場合が多いです。
それ以外の人は共著者といって、その論文の仕事の一部をサポートした人です。
一部をサポートするだけなため比較的簡単に名前が乗りますのでその研究室の活動の指標にはなりません(全くないよりはマシですが)。
また稀にその論文の責任著者が2人いる場合などがあるので、論文をよく見てチェックしておくと良いと思います。
指導教員の研究経歴をresearch mapとKAKENで検索する。
指導教員が今までどんな研究を行なってきたのかも見ておくと良いでしょう。
ほとんどの場合、研究者はresearch mapというサイトに自分の研究経歴を登録していて、その研究者がどのような研究活動を行なってきたか知ることができます。
研究留学経験がある指導教員を選ぶと研究留学について色々アドバイスしてくれるなどあるので簡単に見ておくと良いでしょう。
またKAKENというサイトで指導教員の財政状況を確認しておきましょう。
研究室の活動費は多くの場合、科研費という研究資金を国からいただいて成り立っています。このサイトを使えばその研究者がどの程度科研費をもらえているのかわかります。
やはり潤沢な資金がある研究室の方が試薬や設備が豊富なため学生も良い研究業績を残せる可能性が高まります。
研究室の財政状況は必ず確認しておきましょう。
今現在どんな研究プロジェクトが動いているのか調べる。
稀に自分の興味のある研究テーマをもうやっていないということがあります。ラボのHPには書いてあるにも関わらず、研究室紹介のときに説明していたのにも関わらずです。
なので学生や研究員の人たちが実際に今どんな研究をしているのか研究室見学の際によく聞いておくと良いでしょう。
また指導教員の先生が今どんなことに一番興味を持っているのか聞いておくのも良いと思います。
おそらくそのテーマは芽が出そうでその指導教員が一番力を入れたいと思っているテーマなので、あなたの興味とマッチすれば相乗効果が生まれるかもしれません。
学生の研究活動の様子をチェックする。
学生の研究状況も見ておきましょう。
中には学生には研究のお手伝いのようなことしかやらせないような研究室も存在します。学生のあなたにしっかりと研究プロジェクトを任せてくれる研究室を選びましょう。
また、あなたが修士課程や博士課程に進学することを検討している場合、その研究室にどのくらい修士課程や博士課程に進学した先輩がいるか確認しておきましょう。
さらに、その中でも博士課程進学を検討している場合、学術振興会特別研究員(DC1, DC2)に採用されている先輩がどの程度いるか聞いておきましょう。
学術振興会特別研究員は、ざっくり説明すると博士課程に在籍しながら月に20万円のお給料をもらうことのできる制度です。
これがあれば博士課程の在籍期間に学費や生活費の心配をせず研究に専念することができます。しかし、採択率は20%程度と非常に狭き門となっています。
もし先輩の中で特別研究員に採用されている人がいればあなたが博士課程に進学したときにも同じように採用される見込みがあるということです。
何故ならば、その研究室には学振に採用されるための申請書のノウハウや良い研究テーマがあるということを意味するからです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。研究室を選ぶ際には様々な判断要素があります。
中には今回紹介しきれなかったこともありますが、それは後日改めて記事にして紹介していきたいと思います。
記事の中で様々な検討事項を紹介しましたが、結局最後はその研究室に入って楽しい研究生活が送れそうかっていうのが大事なんじゃないかと個人的には思います。
なんだかんだで楽しく活動してモリモリ研究している人が一番結果出てますし。
もし参考になりそうな情報があればぜひ活用して見てください。

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